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易経・易占を学ぶにあたって

易占にも試験があった

易占にも試験があった!?

春はサクラサク、学生は入試の結果が出てくる時期です。
合格して入学されたら、青春時代をコロナなんかに押しつぶされず、マスク越しでも楽しく過ごして欲しいと願います。
また、不合格のときは「頑張ったね」や「この経験は人生に役立つよ」など、どんな言葉も響かないから、ただお疲れ様とだけ伝え、そっとしてあげたいものです。

私は、もう長い間、試験とは縁がありませんが、劣等生の私は、試験と聞くと、緊張します。
代々木に通っていた浪人生のままです。やったつもり、頑張ったつもりの〔つもり症候群〕だったのです。しばらくは抜け殻でした。

そんな私が、偉そうに、易占で入試や進路の相談を受け、話をしているとは19歳の自分が知ったら、きっと驚くことでしょう。
そう、それも、まさか自分が筮竹を握るとは思いもよりませんでしたが、以前の易者像といえば、駅の近くや街路地で、見台というか、小さな机に本を重ね、筮竹を置いて手招きしたり、ちらちらと通行人を横目で見ているといった姿です。一言でいえば、〔怪しい姿〕を浮かべていました。

さて、話を試験に戻しますと、一昔前、昭和のはじめくらいでしょうか。易者の資格試験があったといいます。
問占者が占者に、ひとに言えない夫婦や家庭の悩みをうちあけて話すと、あろうことか、それをネタにゆすったり、おどしたりした輩がいたそうで、そんなことをする輩がいたなんて、占い師の風上にもおけませんね。
そこで加藤大岳先生が警察にいわれて、第一号に〔鑑札〕を取ってほしいということになり、取ってもらわないと困ると、言われるがままに申請したそうです。この制度が出来たために、東京から逃げだしたエセ易者もいたというから、二度驚きです。

また東京都の総務課で試験があり、その資格を認定し、易占の営業を許可するという都条例が施行されたそうです。そこで、加藤大岳先生一門の江藤幸彦氏がその試験を受けて、早々に資格を獲得されたという逸話も残っています。江藤幸彦氏といえば、東京大学理学部を卒業された秀才で、『易学大講座』の編集委員のお一人です。そして、『易の理論』に収録されていた「筮法の確率論的基礎」という論文も掲載されていて、読まれた方もいらっしゃると思います。

加藤大岳先生は、PTAの役員を頼まれるのが煩わしかったときのこと。ある時に学校に提出する職業欄に、易者と記入したら、それから役員の話は来なくなったというこぼれ話もあるそうです。本物を知らなければ、易者に対する偏見を持っていますね。私たちも易占法家として、易の卦爻、象や義を見定めることは大切ですが、易者に対しての偏見を払拭するのも易占家としての使命というものでしょう。

5年くらい前でしょうか、ある先輩から、「易学検定」なるもののテストを作成されたというので、問題文を見せていただいたことがあります。試験を作る側も結構勉強しないとそれなりに、問題になりませんので御苦労があったようです。しかし、試験があるとなると、人間勉強するものですね。何かに向かって挑んでいく姿勢が、きっと大事なのでしょう。「つまずいた石も、踏み石になる」この言葉を大切にして、挑戦を続けて行きたいと思います。(磯部周弦)

日本易学振興協会では、宇澤周峰先生が東京などで易経とともに、本格的な筮竹を使った周易・易占教室を開催しています。主に、三変筮法、六変筮法を中心にした易占法です。詳細はこちらからどうぞ

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