一陰一陽これを道という
この言葉は、易経・繋辞上伝第五章にかかれていて易占・易学の宇宙観の基本的な概念です。
ちなみに、繋辞伝(けいじでん)とは、易経・十翼の中の一つで、
繋辞伝とは繋けられたる辞、つまり64卦、384爻の言葉に関する伝という意味があります。
繋辞上伝と繋辞下伝の構成になっており、易経の世界観、宇宙観、哲学が書かれています。易経64卦が説明されている、彖伝、象伝が本編ならば、この繋辞伝は、外伝的なものとも言えます。
小説や映画でも、本編があり、外伝があると、その世界観が広がってくると思うので、易経の世界に一歩踏み入れたら、易経にどんどんはまっていくと思います。
せっかくですから、原文も紹介いたしましょう。
一陰一陽これを道と謂(い)う。之を継ぐものは善なり。之を成すものは性なり。仁者は之を見て之を仁と謂い、知者は之を見て之を知と謂う。百姓は日に用いて知らず。故に君子の道は鮮(すくな)し。
「一陰一陽、これを道という」声に出して読んでみても、なんと気持ちがいい音霊だと思いませんか?易学の先輩が教室として庵を建てられた際に、この言葉を掛け軸として飾られたとお聞きしました。易経、易占を奉じる人には、とても原始的で魅力的な一文なのです。
一陰一陽とは何でしょうか?
ここでは陰と陽の二つの気をあらわしています。これを物の性質に当てますと強弱であり、剛柔となります。明暗でもあり、寒暖や盛衰となります。簡単にこれだけ見比べても、「変化」が生まれていることに気付かれるでしょう。
これを「道」と称したのです。易占を志すあなたなら、陰陽の図形を浮かべることができるでしょう。絵では陰陽にはっきりと分かれていますが、陰と陽の境目には「ゆらぎ」があるのです。四季の春夏秋冬でも、文字であらわすとはっきりと分かれますが、だんだんと冬から春に移り変わり、三寒四温を繰り返し春になります。陽気が盛んになってくるわけです。
陰と陽についてはこちらのコラムページもご参考にしてください。
そして、一陰一陽を男女に例えてみるのもいいでしょう。
時に、女性であっても、男性のような強い一面が出ることもあります。
例えば、結婚して奥様となった場合は、奥様は夫の前では、陰の面で女性ですが、子供の前では親として陽の面を表に出して子供をしつけたりします。お父さんが不在のときはお母さんがその役目をするからです。
その逆もあります。男性であっても女性のような弱気になったりします。そんなに弱い男ではない、とあらがっても、例えば、男性の経営者は陽の面を持っていますが、時には女性のような弱気な陰の面が出るときだってあります。男らしく、女らしくと、それだけにしがみつかなくてもいいのかと、そんな見方も出来ます。
このように陰と陽は固定でなく、そして対立でもなく、一対であって、統合されているという見方もできます。
つかみどころがないと思っていた易経も、陰と陽によってある部分は理解できてくると思います。易は、神様のように形体がなく、つかみどころがないのですが、ある一定の方向が垣間見えるときがあります。
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