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易経・易占を学ぶにあたって

易経の中と不中について

中と不中について 易経を学ぶ

易経は、中庸を重んじる教えです。文字にするときわめて短いのですが、易学は簡単に習得できるものではありません。ある程度時間が必要です。じっくりと易経の言葉をかみしめていくのを楽しめるような人におすすめです。

高い東洋思想を真剣に勉強していくと、深い思考力がついてきます。まさに、思想教育です。ゆとり教育などによって、道徳観が薄れてしまっています。そんなご時世だからこそ、何を信じてよいか、何を拠り所にして良いかが分からない人が多いのが実状です。これからの日本のためにも易学のような思想を身に付けて欲しいのですが、単なる表面的、テクニックで作る思想、リーダー論ではありません。易経の教えにそって、感動を与え、お互いを信じられる関係性を作っていきたいと思います。

さて、この中庸とは、偏った行動をせず調和をとるような考え方です。何度も何度も易経を読み込んでいくうちに、この中庸の精神が身にしみてきます。

易経では六爻のうち、二爻と五爻はその中庸をもっているので「中」で、それ以外の初爻、三爻、四爻、上爻は「不中」と呼びます。

例えが単純になりますが、知り合い3人で電車で横一列に座ったとき、話がどちらか2人だけが盛り上がっていては1人が「みそっかす」になってしまいます。3人皆が楽しく話せるように和を心がけるというようなことです。

「中」は、陰陽の定位とあわせて見ます。陰陽の定位のコラムをご参考ください。位が正しければ「中正」と呼びます。そして、位が不正であるときは「中不正」と呼びます。

少し難しい表現になりましたが、中は二爻と五爻ですので、

二爻で陰だと、中

二爻で陽だと、中不正

そして

五爻で陽だと、中

五爻で陰だと、中不正

ということになります。

スワローズの村上宗隆選手が、みごと日本人最多ホームランとなる56号をはなって、最年少で三冠王に輝きました。速球をバットの芯でとらえている映像を何度もご覧になったと思います。中とはいわばバットの芯、中心とも例えることができると思います。

易経は人間のことをすべて網羅していますが、相談者から信じられる易者になるには、易者が徳を積んでいないといけません。徳行を意識して日々を送れば、あえて易経、易占の良さを言わず、黙っていても易者の雰囲気で人から信じられるようになるのです。

日本では昔から、相撲や格闘技の世界で親しまれてきた言葉に「心技体」があります。自己概念がきちんと完成しつつある人、自己統制が完成した人のことを指すのかもしれません。易占いはもとより、ビジネスの社会でも、この「中庸」という完全統合が必要とされています。営業職を例にとって見ても、先輩や同僚と同じやり方ではこれからは、伸びません。スケールメリットやブランドだけでも通用しない時代です。企業戦略が皆同じように見えるからです。今までは「中」を得ていなくても、ある程度は成長したことでしょう。世界秩序が崩れ、きれいごとなしの世界になり、既成概念から脱出できない企業や個人は、ずっと不況のままとなります。それぞれが、お持ちの今までの成功体験から、いったん放れてみるのも大切です。

易経を学ぶうえで、今までのご自分の価値観をいったん隅において、素直に聞いてみてください。どうしても、能力主義で生きてきた私たちは、新しい価値観を聞いても、その欠点を見つけてしまうのです。手探り状態でも、まずは、易経の世界に、入ってみてください。易経の64卦を通して、自分をみることになります。初めは漢文が難しいかもしれません。しかし、真理はシンプルです。易経にふれあっているときに、自分の心と向き合えば、心の影とでもいいましょうか、自分の陽の部分と陰の部分を認めることができます。

余談になりますが、易学は「守・破・離」の世界です。

まずその流派の先生の型を徹底的に真似して、追いついたら師匠、先生の技からさらに一歩自己流で進歩させて型を破り、その後は先生から離れて独立して新しい世界を築きあげていく。易の道でも剣の道などの修行と同じようなことが言えると思います。

日本易学振興協会では、易経、易占の入門教室を開催しています。易経を学問としてだけでなく易占としても活用でき、易八面体サイコロやイーチン易タロットではなく、歴史的な筮竹(ぜいちく)を使った、三変筮法(略筮法)や六変筮法(中筮法)を学べます。なお十八変筮法(本筮法)は易経十翼・繋辞伝の講座にて説明しています。

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