易経をより身近に感じて頂けるように、易経の言葉を掲載しております。易経には、味わい深く、魅力的な語句がたくさんありますが、周易本卦64卦から十翼の広い範囲で、特にこれは!という一節を選んで取り上げます。
〔積善の家には必ず余慶あり〕
この言葉は、周易翼伝・文言伝の☷☷坤為地初爻を解説した箇所にあります。
善い行いを地道に積み重ねている家には必ず、慶びと幸せが訪れます。この必ず!と断言しているところが素晴らしいですね。そして、その慶びは、家の主人だけでなく、家族や子孫までもにおよぶのです。一方、貧すれば鈍するで、悪い行いをしていると必ず、災いが子孫までもおよびます。という内容です。訓読文は、次の通りです。
善を積むの家には必ず余慶あり。不善を積むの家に、余殃あり。臣其の君を弑し、子其の父を弑するは、一朝一夕の故に非ず。其の由って来たるところの者漸なり。之を辨ずるに早く辨ぜざるに由るなり。易に曰く、「霜を履みて堅氷に至る」とは、蓋し順を言うなり
昔の人は、「親の因果が、子に報い」とよく言ったものです。ご先祖や自分が行ったこと、その結果が一族や子孫にまで、福もおよぶが、不幸もおよぶという、因果律の法則なのでしょう。
となると、この法則を知らずに生きるのと、知って子孫にまでおよぶことを予測して、生きるのとでは、日々の生活が大きく違ってきます。
まさに「いのちのバトン」の世界のように、ご先祖を10代前までさかのぼると、その人数は1024人にもなります。たくさんの命があり、ご先祖様から、繋がれてきたもので、今の自分を形づくっているのですね。
もちろん、両親には肉体を授けてくれた恩に、心の中で感謝をしています。また、考え方や価値観を授けてくれたことも大きな存在です。体に染み込んだ良い考え方は、血となり、肉となるはずです。
易経にならって、徳の積み立て貯金をしたい。
さて、子供が巣立つというのは、独立心の芽生えですが、ある意味では、裏切られたようであり、断ち切られたように実家を出て行く場合が多いと感じます。親のことを疎ましく思い、つい感情をぶつけ合い、否定的に見ることで、成長していくことだってあるでしょう。
その巣立ちの時に、子供に託すものを、ほんの少しでも、良い価値観として伝わっていったらと思います。
親子や家族は、血のつながりで深い絆があると言われますが、それが必ずしも全てではないということです。動物的なつながりにとどまらず、人間的なつながりとは、考え方や価値観を教えることだと考えます。
私ごとで恐縮ですが、父の故郷は岡山県玉島という新倉敷のあたりです。忙しさを言い訳にして、もう何年もお墓参りをご無礼してしまっています。

私から、4代前に登羅さんというおばあちゃんがいて、彼女が建てたいくつかの小さな観音様の祠を見たとき、を目にした時、私もご先祖様に顔向け出来ないことは、あまりしてはいけないなと感じたのです。登羅おばあさんは気丈で、慈愛にもあふれた女性だったのだと、彼女の教えに学びました。
ご先祖様がどのような生き方をしてきたのか、その歩みを知ると、自分の生き方が変わることがあります。
ご先祖のことを知ることは、我が家の小さな歴史ですが、この家に生まれたことを誇りに思い、そして、日本人として生まれたことにも誇りを感じています。もちろん、これだけ多くのご先祖様のなかには、徳を積まれた人だけでなく、色々なご先祖様も居たことでしょう。
懺悔多き道を歩んできた私ですが、いずれ、自分もご先祖様になることを考えると、徳の積み立て貯金が大切だと感じます。コツコツと積み上げていきたいですね。
改めて〔積善の家には必ず余慶あり〕この易経の言葉は、とても財産になる箴言です。
人生の裏窓として、易占鑑定をすることもありますが、問題は相談者の行動にあると言いたくなる場合が多いです。こういう易経の道徳観が伝われば、さほど大きな問題は起きにくくなるのではないかと思います。
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