これは、ある北国の小学校の授業でのお話です。先生が出した試験で、「雪が溶けたら何になる?」という問いに、「春になる!」と答えた生徒にバツがつけられたといいます。こんこんと雪が積もる地域では子供たちは春を待ちわびているんですね。1メートル近く積もった雪に閉ざされた世界です。バツをつけた先生は少し味気ない気がします。
心のこもった法話とお母さんたちに人気で、「歎異抄に学ぶ」の著者である住職の本多静芳さんは、「子供の心の繊細さ、情緒の豊かさに、教育現場が対応できない、教育者が心を寄せられなくなっています。教えるということは、実感がともなってこそ、人間が育てられるのだと思います」と話しています。三つ子の魂百までという諺があるように、子どもが小さなうちから、読み書き算盤に力を入れている親御さんもいるかもしれません。
三つ子の魂百まで。情操教育が大切ではありませんか?
しかし子どもが小さいときこそ、勉強よりももっと大切な教育があります。それが「情操教育」です。自分で考える力や感じ方を形成するために必要な、人間力やこころを育てるというものです。本の読み聞かせはもちろん、音楽を聞かせることも心を豊かにさせます。そして、生き物(動物や植物)や自然との触れ合いも大切です。植物を育てたり、犬や猫などのペットを飼うのも命の尊さを学ぶいい方法です。他には、季節の行事や食べ物を意識させることもポイントになってきます。日本に昔から続く季節の行事は、自然と感性を育くんでいきます。
狭い範囲でしか物事を見られない人が多くなってしまいます。おとなでさえ、そういう人が多いのです。そのおとながどうして子供や部下を育てることができるでしょうか。存在価値を認めません。人は良いのに、価値観がない。そんな人になりたくありません。
江戸時代の寺子屋では、読み書き算盤の前に、今に息づく儒教や仏教をもとにしつけや自分の個性や想像力を育てることを重要視していました。団塊世代からはじまり、バブル、氷河期、つめこみ教育、ゆとり世代、現実社会の厳しさを感じ夢や目標を持たず悟っているような、さとり世代と来て、そしてその下のZ世代といわれるSNSやインターネットを子供のころから使いこなす現代の子供世代にも情操教育で人間力を育ててほしいものです。一緒に易を学び、価値観を身につけませんか?(磯部周弦)
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