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易経・易占を学ぶにあたって

尺蠖の屈するは伸びんがため易経

尺蠖の屈するは、以て信びんことを求むるなり 易経繋辞伝より


 〔尺蠖の屈するは、以て信びんことを求むるなり〕易経のまっすぐな言葉に、心が震えます。特に運気が下がっているときなどは、ファイトもガッツも湧き上がってこようという感じです。
この言葉は、周易翼伝繋辞下伝からです。読み下し文は、少し長いのですが、この一節を引用したいと思います。

尺蠖の屈するは、以て信びんことを求むるなり。龍蛇の蟄するは、以て身を存せんとするなり。義を精しくし神に入るは、以て用を致すなり。用を利し身を安んずるは、以て徳を崇くするなり。此れを過ぐる以往は、未だ之を知ること或らざるなり。神を窮め化を知るは、徳の盛んなるなり。

尺蠖(せきかく)とは、尺とり虫のことです。尺とり虫が、縮むのは、次に伸びて前に進もうとするためです。
縮んで伸びてを繰り返しながら、自然に進む方向へ、前進していきます。芋虫が木の枝で、えっちらおっちら動いている姿が浮かびます。
また、同じように、うねり動く蛇やそして、大空を舞うあの龍でさえ、厳しい寒さの冬には、冬眠をします。
人間なら、なおさら不遇な時でも、希望を捨てずに耐えるときでしょう。
そして、今じっと耐えていることが後々必ず役に立つときが来る。という教えなのだと解釈しています。
龍は君子であり、蛇は小人を対比して、比喩したのでしょうか。そんな推測も出来ます。

易経の人生観

寒く辛い冬の時期は、冬眠して、じっと耐えることが必要です。
しかし、その胸の奥底では、なんとかまた進もうという意気込みがあるのですね。人生がつらいときの原動力になる言葉です。不遇なときは、易学などの勉強も大切です。身に付けると、後に役に立つときがきっとやって来ます。

易占の神秘の扉を開けられた諸賢兄姉は、運命観、人生観をお持ちのことと思います。
私も、人間は自然界の中で生きているためか、人間の運命や運気は、春夏秋冬と同じ運行をしているように感じています。
   春には、桜が咲き、菜種の花がいっぱいに広がる。
   夏には、新芽が出て、木々が青々と元気に繫る。
   いつのまにか、紅葉し、そして落ち葉となる秋。
   寒い北風が吹き、深い雪に閉ざされる冬。

運気が低迷しているときに限って、人はどうしても焦りや不安を感じ、何かをしなければならないという気持ちに駆られジタバタと動きたくなってしまうものです。
私自身も、状況が思うように進まないとき、自分の無力さを痛感して、何とかして事態を打開しようと必死に動き回りたくなった経験があります。しかしながら、こうした焦って行動したことが、かえって逆効果を生むこともしばしばです。
易経は、そんな時こそ、冬眠して、次に備えておく準備期間ととらえるべきだと教えてくれています。
運命論の延長線上で考えるべきかもしれません。

冬の間は、自然界でも動物は冬眠し、植物も落葉させて寒い時期を休息して、再生の準備をしている時です。
〔龍蛇の蟄するは、以て身を存せんとするなり〕の部分での、龍も冬眠するなんて、面白い例え話ですね。
龍は、☰☰乾為天☷☷坤為地に登場するように、神秘的な存在として描かれています。
中国や日本をはじめとする東アジアの神話や伝説において、龍はしばしば神聖な生き物として崇拝され、その力強さや知恵、そして水害などに悩まされていたことから、水神を象徴するものとされています。

また、龍は、普段はとても優しい聖獣だそうです。日本昔話でも♪坊や~、良い子だネンネしな~という主題歌とともに、龍に坊やが乗って空を飛んでいます。漫画だからではなくて、龍は、優しい性格なのだと、韓非子(説難篇)に書かれているのです。
しかし、龍は機嫌がいい時はやさしいのですが、弱点である顎の下にあるウロコを触ったりすると、怒ります。
このウロコを触れることは、龍にとって許されざる行為です。怒りの激しさは、〔逆鱗に触れる〕という言葉の語源となった逸話だそうです。

〔逆鱗に触れる〕とは、何かをして相手を激怒させる、あるいは許しがたい行動をとることを意味します。
逆鱗に触れることは、龍にとって最も触れてほしくない部分に触れることと同義であり、そこに触れることによって引き起こされる怒りの度合いを表しています。

読者諸賢に、あえて申しあげるまでもありませんが、龍は、君主や王にあたります。
現代では、上司ですね。それゆえに、易経の修身の道では、同じことが言えるのですね。
王様の逆鱗に触れて、転落していった話は、古代の伝説や物語の中でのドラマや教訓を生み出しました。
このように易経の教えは、永遠に新鮮であり、しかも説教くさくない点に毎回新たな気付きがあります。

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