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易経・易占を学ぶにあたって

高円寺阿波踊り気象神社と柳下尚範先生

高円寺阿波踊り、気象神社と柳下尚範先生

 少年の頃、東京育ちの私の夏休みといえば、盆踊りと花火でした。神宮の花火を見るんだと弟と屋根に上った思い出があります。実家は、豊島区にあるため、練馬の豊島園の花火が見えたのは、しっかりと記憶にありますが、神宮の花火も見えたような、見えなかったような、不確かな記憶です。最近では、花火や盆踊りと並んで夏の風物詩として高円寺の阿波踊りが定着してきました。

 「えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ」と、威勢の良い掛け声が響く阿波踊りは、昭和32年に始まりました。当時、街の賑わいを取り戻すために導入され、隣駅の阿佐ヶ谷では昭和29年から七夕祭りが始まっていたこともあり、青年部が「高円寺も負けるな」と立ち上がったのがきっかけだそうです。その後、いくつもの存続の危機を乗り越え、現在では踊り手がなんと1万人を超え、観客数も100万人を超える大イベントに成長しました。初めは、たった50人ばかりの阿波踊りが、情熱と躍動に満ちた笑顔が溢れる東京の夏の風物詩として、多くの人々に愛されていると聞き、感動しました。

 さて、高円寺といえば、かつて柳下尚範先生のご自宅があり、そちらでも易学教室を主宰し、易占法の普及に努め、多くの占法家を育て上げられました。柳下尚範先生は、それはそれは厳しい先生だったそうです。その厳格な指導と謹厳実直な性格から、お弟子さんたちから尊敬されており、正統なる大岳易の継承者としての役割を果たして来られました。

 柳下尚範先生が監修され、宇澤周峰先生が編集委員を務められた『六十四卦占例集』の復刻版が、令和3年に出版されたと易友に教えてもらい、早速読んでみましたが、改めて、柳下尚範先生の極めて折り目正しい面が偲ばれます。

 また、高円寺には日本で唯一の気象神社があります。この神社の御祭神は八意思兼命(やごころ・おもいかねの・みこと)で、天照大御神が天の岩戸に隠れた際、岩戸を開ける知恵を授けたことで知られています。八意思兼命とは「知恵の神様」として崇拝され、晴、曇、雨、雪、雷、風、霜、霧の八つの気象条件を司るとされています。なにか、易の八卦にもつながるようですね。

ちなみに、気象神社の〔気象〕は、「けはひ・かたち」という意味だそうで、古事記上巻の冒頭にあると、小林宏基さんが以前研究発表された『左右の一考察』の中で、お話してくれました。
 元々は、昭和19年に陸軍の気象部内に創建され、軍にとって気象条件は戦略、作戦を講じるのに大事な要素であったため、科学的根拠に基づいた予報がされていましたが、予報的中を祈願するなど、気象観測員の心の拠り所となっていたのでございます。
その後、戦後の国教分離指令で、撤去されるはずの気象神社でしたが、なぜか、調査漏れにより残ることになりました。そして、先々代の山本実宮司が受入を決断されて、高円寺氷川神社に遷座されることになったそうです。

 日本唯一の気象神社として、天気を祈ることが一日を大切に過ごすための願いであることを教えてくれます。ここは、新海誠監督の映画『天気の子』で、一躍有名になり参拝者で賑わっています。
ちなみに、よくお問い合わせを戴いておりますが、「脱雨男」「脱雨女」などのご祈祷はございません。という注意書きもあり、それも、そうだと思わず、微笑んでしまいました。

 また、易の大先輩から伺ったとおり、参拝をした後に、外に出てみると、神社に寄贈奉納された、柳下尚範先生のお名前を見つけることができました。大先輩曰く、柳下尚範先生の強くたしなめる口調にドギマギして、なるべく指されないように、授業中は体が大きい人の後ろに座っていらしたそうです。

 気象神社には、こんな一言がありました。「天気はすべての人に、毎日平等にやってきます。その日の天気を祈ることで、心も晴れ渡りますようにと願うことができます」
これを読んで、私の心も晴れ間が出ました。さすが、日本唯一の気象神社です。
 この頃、異常気象という言葉に、慣れてしましました。ここ数年、ゲリラ雷雨やら、記録的豪雨、最大級の台風、観測史上初となる猛暑など、気象が大きく変わっていると思うのは、私だけではないはずです。保険会社の方から、火災保険の料率もどんどんあがっていると伺いました。どうか、会員の皆様もどうかご無事に過ごされますように。(磯部周弦)

日本易学振興協会では、宇澤周峰先生が東京などで易経とともに、本格的な筮竹を使った周易・易占教室を開催しています。主に、三変筮法、六変筮法を中心にした易占法です。詳細はこちらからどうぞ

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