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日本易学振興協会からのお知らせ

易経十翼文言伝

易経・十翼『文言伝』宇澤周峰先生講義開始

■易経・十翼『文言伝』の講義開始
このたび、日本易学振興協会本部において、易経・十翼の一つ『文言伝(ぶんげんでん)』の講義を、開講する運びとなりました。『文言伝』は、易経を深く学ぶ上で極めて重要な位置づけにある書であり、特に「乾(けん)」と「坤(こん)』
すなわち天地の根本的な原理について解き明かしているものです。

易経には、六十四卦それぞれの本文のほかに、それを解釈し深めるための十の注釈文書が組み込まれています。
これを「十翼(じゅうよく)」と呼びます。
『彖伝(たんでん)』『象伝(しょうでん)』『繋辞伝(けいじでん)』などがよく知られていますが、
その中でも『文言伝』は、単なる卦辞の補足にとどまらず、易経が説く宇宙観・人間観・修養の道を、より哲学的かつ倫理的に展開している点において特筆すべきものがあります。

本講義の『文言伝』は、六十四卦ある易の本卦のなかでも特に重要とされる「乾」の章と「坤」の章を取り上げ、その象徴する徳目について学びを深めていきます。乾は天の徳、剛健(ごうけん)を体現します。上昇し続ける龍のように、志高く、自らの意志と節義をもって前進する姿が描かれています。一方の坤は地の徳、柔順(じゅうじゅん)を司ります。すべてを受け入れ、包み込み、他を育むような柔らかな力――それこそが坤の本質であり、陰の力の偉大さを物語っています。

また『文言伝』の中では、「君子の四徳」と呼ばれる「仁・義・礼・智」についても明確に説かれています。
仁:思いやりの心。人を愛し、傷つけず、他者と共に生きる姿勢。
義:道理にかなった正しい行い。私利私欲に惑わされず、正を貫く精神。
礼:節度と秩序を守り、社会の和を育む行為。形式を通じた徳の実現。
智:物事の道理を見抜く明知。感情や表層に流されず、真理を見極める知恵。

これらの徳目は、単に儒教的な道徳論にとどまるものではなく、人間としての本質的な在り方、そして混迷する現代社会において自らを保ち、他者と調和しながら生きるための普遍的な指針として、私たちに大きな示唆を与えてくれます。

『文言伝』が説く「君子」は、決して特別な存在ではありません。むしろ日常生活の中で、たとえ小さなことでも、自らを律し、他者を尊び、時に困難の中でも道理を選ぶ者を指します。そうした姿勢こそが「仁義礼智」を備えることであり、それを日々実践する努力の積み重ねによって、私たちは徐々に「君子の道」に近づいていけるのです。

現代は情報があふれ、価値観も多様化し、何が正しく、何が善であるかさえ曖昧になりがちな時代です。そのような中で、自らの軸を定め、判断力と内面の成熟を深めていくためには、古典に学ぶ姿勢が欠かせません。特に『文言伝』のように、根本原理と人間の徳性を統一的に説いた書物は、易経の真髄に迫る格好の入口といえるでしょう。

この講義では、単なる文章の解釈にとどまらず、現代社会においてそれがどのように生きるか、我々の日常の選択にどう活かせるかといった「実践の視点」も大切にしてまいります。講師を務めるのは、長年にわたり易学と儒学の研究・指導に携わってこられた宇澤周峰(うざわ・しゅうほう)先生です。深い学識とともに、受講者一人ひとりの問いに寄り添う丁寧な講義で定評があります。

・講義開始・・令和5年5月17日(水)
午前10時30分~1時
・授業・・・月1回。毎月第3水曜日
・受講料・・7、000円
・申込み・・日本易学振興協会本部・宇澤周峰先生宛まで

知識だけでなく、心のあり方を学ぶこと。易を通して自分自身の人生を静かに見つめ直すこと。それが本講義の大きな目的です。日々の生活に追われ、心のゆとりを見失いがちな今だからこそ、易経の教えに触れ、自らを整え、世の中との調和を取り戻すひとときを共に過ごしてみませんか。

古典は難しいという印象を持たれる方も多いかもしれません。
しかし、『文言伝』は、現代に生きる私たちの心に直接響く言葉に満ちています。理解するための形式や用語の解説も丁寧に行ってまいりますので、初学者の方も安心してご参加いただけます。

私たちが今、何を学ぶべきか
その一つの答えが、きっと周易『文言伝』の中にあります。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

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